連珠雑記

連珠(競技五目並べ)に関する雑記。問題掲載、五目クエストの棋譜、公式戦振り返りなど。

第57期連珠名人戦リーグ1回戦 長谷川九段戦

ふと自分の連珠が客観的にどうだったのかを調べてみたくなったので書いてみる。

 

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私の白番。この時点での私の研究では七題提示が相場だったが、いまは六題提示でも充分だと思っている。後々試す必要がある。この中で五珠指南書に載っていないのはK9。載っていないということは指南書的に少なくともいい手ではない(完全に咎められるかは別)か、注目されていないだけで充分打てる手か。初見なのでこの時点では判別できない。五珠J7に対しては準備に自信があったのでそちらを打とうかとも考えた。しかし今大会のテーマが、2年後の世界選手権に向けた自力向上及び勝負師としての自分の模索であったためこれを見送った。別の機会で打つこともあるだろう。

 

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第一の反省局面。白6本譜はあまり考えずにまぁ悪い手なわけがないだろうと思って打ってしまったが、黒5を悪手と解釈して本気で咎めにいくなら白6でAも有力だった。私の序盤(一概に言えないが大体開始15手から20手程度)の判断は総じて甘い。疲労しているときはまた別として、調子の悪くない状態におけるミスはほぼこの段階および詰み周りに集中している。連珠の序盤力はほぼ終盤力とイコールといってよく、終盤力に難のある私としては当然の帰結かもしれない。考えて分からなかったのなら仕方ないとして、せめてAをもう少し考えたかった。

 

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白10でYixinやEmbryoといったソフトは違う手を推奨する。比較検討してみたところこれは好みの範疇だろう。軽く検討した程度では何が明らかにいいというものではなかった。落ち着いた状態でソフトを使用して分からないということは、実戦的にはもっと分からない。問題なのは白16。直前の黒15に対して違和感を持ったのはそうなのだが、具体的な対処方法が分からなかった。このときの私の第一感は白Aからの追い詰めだったが、白Aに対し黒Cで勝てないという判断だった。黒Cで勝てないのなら白Cからの追い詰めを考えるのが漏れのない手順。しかし詰みがなかった。感覚としてはどう見ても何かありそうなだけに、次の手をどうしようか苦心した。結局白16で本譜のように受けておいて、後の白Bを狙いにする長期戦構想に切り替える。この判断自体は悪いものではなく、分からないなかで次の手を選ぶという意味において良い判断だったようだ。ただこの局面には白に勝ちがあった。

 

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白16から全部打っていき、白22まで冷静に三三禁を睨んで受け無しというのがその手順だ。Embryoが0秒で勝ちを示すのだが、私は1秒も考えなかった。まず全部打つというのをあまり重要視せず、追い詰めではなく呼珠受け無しで終息するのが完全に盲点だった。思いのほか思考に制約をかけてしまっているのだと気づかされる。こういうのを漏らさないためにはどうしようか・・・。

 

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本譜に戻る。白16黒17で局面を悪くしたかもしれないと感じていた。確かに最善=勝ちからちょっと有利くらいまで戻されているのだが、思っていたほど局面は悪くなかった。白18は相当自信がなかったが、ソフト的には推奨手らしい。以下24まで16のときの狙いが実現した。まだやれる。評価を調べても白18から24は最善クラスのようだ。白26では急に良くなったと感じて保守的になってしまった。こういうところ感情の急激な揺れが手の精度に表れているように思う。Embryoは白Bを推奨していた。私は本当なら白Aに打つつもりで、黒の詰みなしを時間内で断言する自信がなく本譜を選択している。本譜は本譜でYixinでは推奨手だったので好みなのかもしれない。

 

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黒27では右辺を受けにいくべきであった。白28以下追い詰め。仮に27で受けていれば上辺での戦いを考えていた。

 

全体として明確に間違えた箇所が一つ。それでも被害を最小限に抑えたということでよしとしよう。数年前ならこういうミスが出るたびに発狂していたが、いまはだいぶ落ち着いて見ることができている。比較的よく打てたほうだと思う。