連珠雑記

連珠(競技五目並べ)に関する雑記。問題掲載、五目クエストの棋譜、公式戦振り返りなど。

受けの選択肢


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久しぶりに五目並べの達人をやったときのもの。図で白番どう受けるか。黒の直近の狙いとしては黒A白B黒C以下追い詰めらしきものがある。らしきものという表現をするのは、実戦のこの時点、得に短い持ち時間において正確に追い詰めだと判断するのが難しいためだ。時間があれば読みきった上で強い手を考えたいし、練習としては読みきるのがいい。しかし実戦はそう理想通りに運ぶものではない。この追い詰めの読みきりだけに時間を割いていると他のことを考えられないので勝率が悪くなりやすい。こういうのは暫定追い詰めとして見ておくのが健康的だ。

 


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先ほど黒Aから詰みが始まると述べた。では白からそこに打てばいいではないか。自然な発想ではあるが、じゃあすぐにと打ってしまうのは危ない。例えば黒9。桂馬の網を打開しながら釘折れに組む絶好点だ。他にはAなども候補手になる。こうなると白8がそっぽを向いている印象だ。実戦で受けを考えているときは黒9を予測して白8の響きが悪いと判断するのは難しい。要練習である。

 


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先の黒9が絶好点なら、そこに白から打つのはもちろん選択肢になる。これは黒9以下や、その他猛攻によって負けなければかなり有力だ。盤面の広い上辺を支配しながら桂馬の網を構築している。下辺の受けきりに自信を持てるならこういう手を打ちたい。但し心臓に悪い。棋理的には分からないが実戦的には打ちにくいか。もし打つなら入念に読んでほしい。

 


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白8は相手の連を消しながら自分の剣先を作る自然な着想。この手で注意すべきことは二つある。ひとつは黒Aなどから斬り合いを挑まれたときにどうなるか。もうひとつは黒9と包囲作戦を挑まれたときに大丈夫かである。特に包囲作戦を挑まれるのは実戦では見落としやすい。白は明確に良くする手段がないと、じりじりとチャンスがなくなっていくため忙しい。白8は決断の一手である。

 


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白8は黒の追い詰めの二本目の三をあらかじめ止める意味合い。黒A にも備えている。黒は上下に狙いがあるので、上下をバランス良く受けようという発想だ。受けが好きな人はこういう手が目につきやすいのではないか。今度は下辺の受けが少し甘くなったと見て例えば黒9。あるいは縦の連がまだ生きていることを積極的に利用するならB やCで迂回を狙う打ち方もある。黒に上手く打たれる、あるいはこの後白が間違えるとこの白8は受けているようで実は何も受けていないということにもなりやすい種類の手だが、受けまくるのが好きならオススメだ。

 


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白8の場所は黒5と7からできる横の連と斜めの連を直接的に止めている。いままで挙げた中では下辺の受けに特化した手で、一つの形ではある。ただこの場合は縦の連が生きているので黒9がやはり強烈。受けなしレベルかもしれない。頻度は高い場所ではあるので覚えておいて損はない。

 

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白8は黒の詰みを受けながら反撃を睨んだ手。具体的には白A黒9白B。黒Cと打たれてもこの筋で持ちこたえられるし、これにビビって黒Aなら白Cがぴったり。こう書くといかにも良い手のように見えるが実際は簡単ではない。黒9と単に止める自然な手が上記のような思考回路をしていると見落としやすい手になる。これで駄目かは別として、打たれてから悩むのでは危ない。相手に自然に打たれて大丈夫かの確認は常にしたいところだ。

 

受けというと連か剣先を止めるという印象が強いかもしれないが、考えていくと案外色々ある。石数が少なく制約の大きくなりやすい序盤でこうなのだから、石数が増えればより選択肢が増していく。どれだけの手札を持っているかが勝敗を分ける要の一つだろう。