連珠雑記

連珠(競技五目並べ)に関する雑記。問題掲載、五目クエストの棋譜、公式戦振り返りなど。

勝敗を分かつ一手の攻防~幻の四追い~

連珠には幻の四追いという慣用表現がある。簡単にいうと、「四追いだと思っていたら実はノリ手で勝てないもの」にあてられるものだが、厳密にはもう少し狭い意味合いなのではないかと思う。ちょうどいい局面を見つけたので紹介したい。

 

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(仮想局面、白2まで)

この図自体は私の練習譜の検討で、初手から説明すると非常に長くなるのでこの図以前の攻防は省略したい。ある図からYixin2018同士で打たせたものである。黒1と打ち、白2と受けた。黒1はフクミ手で、これを放置すると白2の場所で四三ができる四追いがある。黒には連が二本あり、詰ましにいけるかもしれないという形勢だが、白の下辺の剣先がそれを受けている。人間ならひるむ人もいると思うが、Yixinはここで果敢に詰ましに出た。

 

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(白8まで)

黒3は詰みに行くならまずここからという手で自然な一着。対する白4はAのミセ手。先手をとられるとあっという間に詰んでしまうのでこういうところは逃せない。黒も5~7とBのミセ手で対抗する。これも先手だが、白8と三ヒキで速度勝ちを狙う。

 

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(黒11まで)

黒9白10で先手のようだが、白にはDEFGという四追い筋がある。だが黒11!白の手を無視したのだ。これを止めれば黒には以下ABCの四追いがあるため、部分的には受からない。白は詰ますしかないが・・・

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(黒19まで)

白が左辺の四追いを試みる。すると左辺に黒石が一つも存在しなかったにも関わらず、黒19まで四がノり勝てなくなっている。四追いで勝てないならば白は右辺を受けるしかないが、それは先に述べた通り黒の一手勝ちだ。

 

このように、幻の四追いというときは「ノリ手を構成する相手の石が全て自分の四を止めた手によって作られる」という特徴がある。実際こういう攻防により速度が逆転して勝敗が分かれることは珍しくないので、一気に詰ましに行くときには注意したい。