連珠雑記

連珠(競技五目並べ)に関する雑記。問題掲載、五目クエストの棋譜、公式戦振り返りなど。

五目クエスト攻略~疎星の打ち方~

五目クエストで三珠交替打ちが採用された。このことによって予想されるのは、疎星、長星、流星の三珠型がとてつもなく増えるだろうということ(自由打ちで互角が保証される)、恐らく多くの人にとってはレートを上げるのが大変だろうということだ。なぜならこれまでは極端に言えば手順を丸暗記すればレートを上げることができた。三珠交替打ちの下ではそういうことは通用しなくなり、考えて良い手をひねり出す必要がある。

上記3つの戦型からどれかを勉強しようと思ったとき、初心者にも強い人にもおすすめなのが表題の疎星だ。長星、流星は序盤から殺傷力の高い展開になりやすく、細い最善をいく必要がしばしば出てくる。対して疎星は、多少の損得はあれど何を打ってもそこそこの展開になりやすい。急戦持久戦と展開も幅広く、この珠型一つ勉強すれば連珠で必要な概念をほぼ一通り回収できるのもいい。加えて長星からは合流するので、対長星で悩まなくて良くなる。

 

疎星の特徴

f:id:haisarenjuthink:20200326065826p:plain

 疎星の形としての特徴は強制手が少ないことだ。白4はこの一手。対して黒5でいきなりA~Gとこれだけの選択肢がある。現状五目クエストではほとんどAしか見られないが、厳密な善悪はあるもののB~Gも大体互角くらいで打てる。連珠をあえて序盤、中盤、終盤の3つに分けるとして、私の中での序盤の意味するところは「強制手をお互いに打つステージ」である。通常、連珠の序盤は1~3択くらいを局面開始からしばらく迫られて、その後ある程度自由に打てる局面(ふわふわしているが大体4択以上)を迎える。今回はAを扱うが、この形の場合次の白6までで序盤が終わり中盤戦に入るという見方もできる。急戦を選択すると再び長い序盤に突入することもあるが、基本的にはいきなり手広い。

 

何を基準に作戦を選ぶか、局面の分岐

f:id:haisarenjuthink:20200326071222p:plain

白6はこの一手。他はちゃんとやれば全部黒が勝つため、ハメ手だとか奇襲の類になる。黒7の選択肢はA~Dの4通り。これらの共通点は、白4、6の連を何がしかの形で止めている。材料の少ない序盤で相手の連を無視すると大体大変なことになる。

さて、この中で何を選ぶかだが、本筋と言われているのは黒A。やや悪いとされているが黒Bもある。Cを説明すると長くなるので省略する。黒Dは前図黒Cと打った形に合流する。これはやや損といわれている。普通に打つなら黒Aだが、急戦持久戦と相手からの手段も多い。黒Bは形勢的に損をするものの局面展開を絞りやすい。形勢をとるか、自分のフィールドに誘い込むのを選ぶかの二択になる。連珠ではこの形に限らず、こういう類の分岐がよく現れる。ここでは説明しやすいAを選ぶ。

f:id:haisarenjuthink:20200326072832p:plain

黒7を選ぶと白からはA~Cの大きな分岐がある。白Aの一部の変化以外はほとんど持久戦になるので、それ以外は覚えなくてもなんとかなる。知らないとヤバそうなものを先に紹介。

 

急戦型で気を付けること

f:id:haisarenjuthink:20200326073448p:plain

黒9を選ぶと急戦になる。連珠における急戦は

①盤面で黒と白が分かれている

②互いに連がたくさんある

のどちらかあるいは両方が多い。この場合は①に該当する。急戦型において気を付けることは基本的に一つで、それは「受けるだけの手を打たない」ということ。常に反撃の余地を残す。この方針を意識するだけでも悪手を打つことはかなり少なくなると思う。例えばこの場合白10でAが受けるだけの手。連を止めながら連を作る基本に忠実な手だが、急戦では有効ではない。では白10でAと打つとどうなるのか?

f:id:haisarenjuthink:20200326074534p:plain

 黒11~黒13で、黒は全ての石が攻めに参加しているのに対し、白は2,4,6の石がほとんど受けに効いていない。このように、黒と白が分かれた局面で相手の攻めに完全に付き合ってしまうと、物量差を活かされて展開が一方的になりやすい。なお、変化は色々あるものの、白10に対しては黒11で完全に必勝であることが分かっている。

f:id:haisarenjuthink:20200326075116p:plain

白10に戻る。黒も11でAは受けるだけの手になる。そういうことはせずに黒11~13で戦いを挑む。こういった切り合いがしばらく続き、お互いの模様を相殺して局面が落ち着くことが多い。この後も紆余曲折あるが、一手一手説明するとキリがないので代表的な対局を以下に記載するに留めたい。

https://www.renju.net/media/games.php?gameid=69220

https://www.renju.net/media/games.php?gameid=87171

 持久戦で気を付けること

f:id:haisarenjuthink:20200326080535p:plain

黒9のように白石に絡んでいくと持久戦になる。持久戦で気を付けることは以下。

①なるべく外側に周る

②攻める際は相手の連剣先の数と同じか+1以上を維持する

③攻めは自分が連をたくさん作れる場所(好点)に打つか、相手の好点に先着しながら自分の好点を増やす

 

①は持久戦においての鉄則で、破るとたいていは酷いことになる。もしくは形勢を保てても打ち方が難しい。上図における白Dがそれで、この図ではこの手だけは打ってはいけない。

f:id:haisarenjuthink:20200326081537p:plain

白10は連を消しながら連剣先を作る手なのでいい手にも思える。実際は内側に籠っておりそれを咎められてしまう。黒11~15が よくある対応で、この局面で既に白は困っている。黒は以下、Aが③、B、Cが①②に該当する。黒としてはほかにも外側に周る手段はあるので、必ずしもこの図を選ぶ必要はない。以下に実戦例を記載。

https://www.renju.net/media/games.php?gameid=62365 (手順は違うが合流)

https://www.renju.net/media/games.php?gameid=16071

https://www.renju.net/media/games.php?gameid=47866

f:id:haisarenjuthink:20200326083243p:plain

②③について少し補足する。例えば上図白12までは白の専守防衛案としてよく出てくる形の一つ。相手の好点を消しながら自分の連を増やすという意味で真っ先に候補に挙がるのはAだが、この局面は白に連がない=反撃がないため他にも様々な選択を採ることができる。例えば、黒Cは同じように好点を消しながら次にBなどの好点を残している。他にも黒Dは先ほどとは異なる白の好点を消しながら次のEを狙っている。連がないということはお互いに選択肢が広いということだ。

白8で変化する形などには触れていないが、この記事で記載した考え方に気を付けて打てば、ある程度はなんとかなる。今後個々の形についても触れるかもしれないが、やるとしてもツイキャスなど映像かな...現状は疎星定石を一通りおさらいした動画をアップロードしていたのでそちらも参照してほしい。


[ツイキャス] 【連珠】疎星定石のあらまし【五目並べ】 (2019.10.01)