部分処理
noteのほうには局面以外のことを書いているので、こちらは局面について書くという棲み分けをしたいと思う。必然的にガチ記事が多くなってしまうかもしれない。正直そのほうが書いていて楽しいという面がありご容赦いただきたい。題材は主にカカオの30秒連珠から。
私の白番。流星より黒9は時折見られる打ち方。この手自体は将来の黒Dなど左上での攻めの破壊力を増強する意味合いが強い。それを恐れて白が上辺から受ければ、今度は右下で強攻しようという攻撃的な作戦だ。対する白10と単に止めておくのが決定版の対策とされ、いわゆる「終わった戦法」入りしている。とはいえそもそもあまり打たれないので実戦的には有効。私は忘却していた。黒11は両者の好点なので自然な手。白は中途半端に受けの姿勢を見せると猛攻を食らうので、強気に打って相手の出方に制約をかける。連珠で受けというと相手の急所を止めていくイメージが強いと思うが、実際には制約をかけるほうが出現する機会は多い。13まで自然な進行でここが岐路。
普通に考えれば白14ーAが最も堅い。これは右下だけを見ればいい手なのだが、黒の本命である左上を全くケアできていないのが気がかりだ。黒B以下色々くる筋と黒Dを連携されると攻めにバリエーションが生まれる。加えて、仮に白が続けてBと打ち込めたとしても白勝ちに至るほど強くはない。黒に何もないならこうした手でゆっくりと優位の拡大を図るのは有力だが、脅威を残している現局面では立ち遅れ気味だ。
例えば黒17までが想定される。このときに次の黒Aに対して白Bが絶対となるのがネック。より左上に勢力を集中されてしまう。後は黒A~Cの斜めのラインが気になる。何かの拍子でCに先手で入ると詰んでしまうため、白としては神経を使う展開になりやすい。もちろんこれはこれで一局で、全部受け潰しますという意思表示として悪くない。ただ攻めの技術が飛躍的に発展した現代連珠において、こういう打ち方は総じてミス待ちになりやすく、相手が大きく間違えなければ黒勝ち or 引き分けにされてしまうことが多い。主体的に勝ちの可能性を高められるならそれを選びたいというのが白の希望である。
というわけで白14。これは右側に連二本を蓄える手だが、ここで勝とうという手ではない。あくまで本命はA付近を見ている。方針としては
①手番を奪取してA付近に先手で打ち込む(理想)
②手番を奪取できないが黒Aに打たれたときに強く戦えるようにしておく
③最低でも右下の黒の剣先を処理して、左上単発の攻めに限定させる
という感じである。これを相手の手を見ながらどこまで通せるかになる。このあたりは白番の辛いところで、どうしても相手に対応するという形になってしまう。黒番だと相手は何でもいいからとにかく自分のやりたいことをしやすいのだが・・・
結果としては①となり、理想が実現した。16、18によって斜めの剣先も付いてきたので局面としては勝ちになっていてもおかしくない。あとは適当に攻めて勝てるかどうかだ。黒は23で24に打つチャンスがあった。
白26の是非は微妙。完全な必勝を構築するよりも逆転筋を消すことに注力してしまった。私の悪い癖かもしれず、ここ一番の踏み込みに欠ける。しかし黒27から29と欲張ったのが決定的に悪く、34まで打てて詰みに入った。なおこの段階でも全変化は読めておらず、大体勝ちくらいである。
白46まで白勝ち。変化は色々あるが検討してほしい。