連珠雑記

連珠(競技五目並べ)に関する雑記。問題掲載、五目クエストの棋譜、公式戦振り返りなど。

実戦型詰む連珠第1問 解答解説

Twitterで出題した実戦型詰む連珠第1問の解説をしていく。問題は以下。

 

初型観察

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(問題図)

ある形における詰みを考えるとき、初型からある程度の道筋を立てておくのが重要だ。早速見てみよう。

黒には剣先が二本、連が一本ある。これらは全て上辺に向いている。通常、このように三本以上の連または剣先が同じ方向の攻めに利いているときは詰みが存在すると見るのが自然だ。もっと言えば、二本でも詰みがあることが多い。この場合では上辺の盤端が近いので、どれか一つの剣先が消えると詰まなくなる可能性が跳ね上がるが、一般論として連または剣先二本≒詰みとみていいだろう。

さて、詰みに必要な手、つまり追い手には「活三、四、ミセ手、フクミ手」の四種類がある。間違えにくい方法論として、最初は「活三と四だけでの詰み」(イモ筋と呼ばれる)を考えるのが確実だ。仮にこれが相手のノリ手で勝てなかった場合、ミセ手やフクミ手を使用して問題解決を図るのが一般的な手段となる。実際に試すと分かると思うが、この方法論は確実だが時間がかかる。よって実戦的には「この形はこの手順で詰み」と覚えてしまうことが多い。いわゆるチャンク化である。この解説でもイモ筋から見ていく。

 

解答図① 基本手順

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(解答図は黒9まで)

 

黒1~黒9と全て打ってしまうのが最も分かりやすい手段であり、この問題では恐らく唯一の勝ち筋だろう。この手順は類型でほぼそのまま現れやすいので第一検討手順である。図以下は白Fなら黒AB、白Bなら黒CDEの四追い勝ちだ。途中、黒5で6に打ちたくなる方が多いのではないだろうか。それはそれで魅力的なのだが、この場合交換で白5と受けられてしまうと縦の連が夏止めにされてしまうため続かない。要注意だ。

 

解答図② 白の強防

 

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(解答図② 白6まで)

白6と受けるのがここでの強防。黒の剣先が前図より一本増えているので一見弱そうに見えるが・・・

 

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(失敗図、白14まで)

先と同じように打っていくと黒13までの四三に白14の四がノッてしまう。冒頭で述べたノリ手の登場だ。ここでミセ手、フクミ手の出番である。

 

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(解答図③ 黒7まで)

ミセ手、フクミ手を打つときの要点は

①打たなくてもいい四はなるべく省略する。

②一度に複数通りの四追いを残す。(フクミ手のみ)

③ヤグラ、クラ、クギオレといった好型に組みながら打つ。

以上が効果的なミセ手、フクミ手を打つための簡単なポイントだ。

 

①について・・・ この場合、前図では黒Aの四をノビていったのでこれを省略して黒7とフクんだ。仮に白Aと打たれて勝てなくなった場合、次は黒A後黒7というように検討していく。駄目なら黒7を変えるという手順だ。

 

②について・・・ 図からは黒ABCD、黒AEFGHの二通りの四追いがある。一度に複数通りの四追いを残すと相手の受けが難しくなる。この場合、四追いだけでなく黒DAという追い詰めも残しているのでさらに厳しい。

 

③について・・・ 好型に組むと正解手の率がかなり上がる。これは最優先だろう。本図ではヤグラに組んでいる。

 

全てに当てはまる必要はないが、一般的にはこの中の2つ以上当てはまると好手率が高いだろう。以下はさほど難しくないが、もう一図だけ加える。

 

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(失敗図② 白14まで)

白8が最も間違えやすいだろう。黒9、14と打つだけの四三が見えるのでつい飛びつきたくなる。だがここで黒9と打つと白10~12で長連筋にされてから白14と受けられて黒勝ちが消滅してしまう。これは事件だ。

遡って黒9では10と先に飛び三を打ち、この長連筋を先に消しておく必要があった。最後まで油断は禁物である。

 

ここまでで正解手順の解説を終える。以下はよくありそうな失敗図について述べる。

 

失敗図

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(失敗図③、白8まで)

 

黒1、3、5と打っていき先手で十字型に組むのは好感覚。しかしこの場合は空間が足りない。黒7に白8が成立するのだ。

 

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(失敗図④、黒11まで)

 

黒11まで打ち、次に白Dと受けられても黒ABCの四追いで勝ちに見える。ここでは白に常套手段の受けがある。次図に載せるが、分からない方は少し考えてほしい。

 

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(失敗図⑤ 白16まで)

 

白12!がびっくりするようだが手筋の飛び四で、この筋を長連にすることで黒の四追いを消している。黒は15で一度先手を取るものの後が続かない。これは頓挫している。

 

以上で解説を終える。全変化を網羅したわけではないが、残りの変化は比較的容易なので検討してみてほしい。実戦での出現率が比較的高い形なので、研究しておけば勝率UPにつながるかもしれない。