三ヒキ主体の連珠におけるポイント
先日いっぷくさんで連珠に関する講義をさせていただいた。その中で「三ヒキは将棋で言うと銀損(捨て)に相当する」と言及した。それにより三ヒキ恐怖症になる方や、「強い人は三を引いているのに何で?」と思われる方があっただろう。その疑問はもっともである。五目クエストでちょうどいい題材が出たので、三をヒキまくる連珠のポイントについて簡単に紹介する。
総譜(掲載許可はいただいております、ちなみに相手はぴえこ先生です。ありがとうございました。)
三をヒくというのはそもそも
①詰み、もしくは勝ちが存在する
②受けるために必要
③相手に変化の余地をなくす
④先に打たれると痛い
⑤利かし
のいずれかのときである。
基本的には①⑤が攻め、②③④が受けの意味合いを持っている。
(実戦図、黒17まで)
この図では黒7には②、黒11、黒13には④と⑤の意味合いがある。
黒7は白から先に打たれてしまうと詰まれる可能性まである要所。白8と釘折れの好型に組まれてしまうのは癪だが仕方がない。
黒11、13は白から打たれるとほぼ先手をとられながら外側に回られてしまう。こういうときはやはり三を引かざるを得ない。その分黒の攻めも盤面の上下両方に利いてくるので悪いことばかりではない。黒17と相手の連を止めて一段落。
ここでは既に白の石が外側に回りつつあり局面は黒忙しい。現状白から速い攻めはないものの、黒の攻めが止んだ瞬間に反撃態勢を整えることができる。局面の主導権(手番)価値が非常に高い。
これが三をヒキまくる連珠においては最重要で、他の展開に比べると手番の価値が跳ね上がる。多少細くてもいかに攻めを繋げるかが大事だ。
ここからの黒は相手の手を見て
①本気で勝ちに行く
②攻めながら盤面を埋めて引き分けを目指す
というどちらかの選択肢を採ることとなる。
(実戦図、白18まで)
白18を見て私が採ったのは①だ。最大の理由は黒A白の桂馬の網を破壊しながらかなりの好型に見えるからである。ただしただ黒Aと打っても白Bと止められて大したことはない。そこでこの場所は決め手として残すのが当面の判断だ。
(参考図)
黒の縦の連を下に三ヒキしたとき、赤いラインの攻め筋が生まれる。さらに左辺には黄色のラインが元々ある。この両者が交わる青色と緑色のラインの攻めが発生する。これを上手く組み合わせれば勝ちクラスまでいくのではないかというのがその場の判断だ。あとは伝家の宝刀黒Aをいつ発動するか(あるいは見せ札にして他の手で勝つか)にかかっている。
(実戦図、黒23まで)
19、21と決めたのは先の攻めを見越してで、23は単調かもしれないがとりあえず攻めが繋がる形にはなったと思われる。この手は受けの役割も果たしており、将来的に白に手番が渡ってしまっても最も広いスペースであるこの近辺に黒石が配置されていることは役に立つ。
(実戦図、黒27まで)
白24はまず打ちたくなるところで、黒25も時間の短い五目クエストではこんなところだろう。これも白の桂馬の網を破壊しながらの攻めであり、勝ちに行くときはしばしば効果的だ。25の場所は白から打たれると剣先になるので、それを先受けする意味もある。
白26となって待望の黒27で、これは最初の狙いが成就したらしい。どうやら本当に受け無しのようだ。
これは上手く決まったが、仮に受け切られてしまうと黒は完全に崩壊してしまう。一般に三をヒキまくる連珠は打ちこなすのが難しい。細い攻めを繋いでいく技術が肝要だ。
まとめると
・三をヒキまくるときは手番(主導権)が命
・実行する前に勝ちに行くか引き分けを取りに行くかの方針を決めるべし
皆様の勝率に少しでも貢献できれば嬉しい。