持ち時間と攻守
入浴中に考えたこと。
とある言説で「連珠は持ち時間90分が適切である」というものがあった。持ち時間が長すぎると、読みが速い者がその長所を活かすことができない、がその主張だ。最近まではうんうんそうだなぁと思っていたのだが、ここ数カ月で変化があった。つまり
「連珠は持ち時間90分が適切」→「連珠の持ち時間は少なくとも5時間以上が適切」
という風にだ。もちろんこれは運営上の都合だとかを除外して、「純粋に連珠として最高のパフォーマンスを両対局者が出し合うにはどのくらいの時間が適切か」という観点からのものであり、こう考えるから実際の大会の持ち時間を変更すべきと考えているわけではないことを記しておく。
ほとんどの連珠においては片方が攻め、もう片方が受けという攻守の分かれが発生する。ここで大事なのは
・攻め側はミスをしても一撃で(理論上)負けにならない
・受け側はミスをすると一撃で負けになりうる(多い)
・攻め側は受けにいくタイミングを選ぶことができる
・受け側はタイミングを選べない
・理論的な形勢は、見かけの攻守が一方的でも互角に保たれていると思われる局面が多い
ということだ。
ミスの比重が大きい受け側は、多少、あるいはかなり形勢がよくても一回のミスが即死につながるため油断できない。一方の攻め側は多少損してでも攻めまくって駄目なら引き分けを取りに行くほうが実戦的な勝率を望むことができる。持ち時間が短く細かい判断をする余裕がない状況においては、攻めている方がかなり有利になりやすい。
「持ち時間内で理論的に悪くても強引に攻める選択肢を採ること自体も実力」という話はあるのだがそれは実戦的に勝ちやすい手を選択する技術であり、理論的に互いが「精度の高い棋譜」を作り上げるという路線から逸れてしまう。「勝負」としては持ち時間が短いほうが勝負としての総合力は試されるが「連珠」として、質の高い棋譜を作り上げる能力は持ち時間が長い方が試されるのではないかと思う。この辺、実際の大会運用の仕方や、そもそも何のために競技会をするのかという話になるので使い分けは難しいが・・・。
などと湯船に浸かりながら考えていた。