形勢判断の尺度
元々は
ここ最近物事をすぐ忘れることに気づいた。連珠の棋譜という話になると顕著で、次の日には忘却していることが多い。日々あれを文章化しようこれを文章化しようと考えていることは多々あるが、その大部分を忘却してしまっているのではなかろうか。あんまり忘れても困るのでせめて思いついて間もないうちにここに書いておこう。
元々は連珠の抽象的な概念について何か書きたいと思ったのが始まり。当初思い描いたのは、形勢判断だとか攻めとか受けとか方針の立て方といった、抽象的なものの中でも本当に抽象的な内容だった。現状出回っている連珠の資料を見渡すと、例えば詰め連珠は正確な答えがある。定石本については「次の手はこう打つ」と書いてあるものの、その思想やロジックには触れないものが大部分といった印象である。考え方についてはあまり重要視されてこなかったせいか、形になっているものはほとんど存在しない。
というわけで何かをというわけだが、難しすぎるものについてはそれを作る土壌ができていない。「超基礎的ではないが難しすぎないもの」ということで形勢判断を取り上げよう。
連珠の勝利条件
ところで連珠の勝利条件に目を通したことがある方はどれくらいいるだろうか?
例えば連珠ルールブック(http://rulebook.kyogo.org/index.html)
には次のように記載されている。
「黒が先手、白が後手で交互に打ち、縦、横、斜めのいずれかに早く「五連」を並べた方が勝ちです。」
全ての資料に目を通したわけではないが、言葉選びは多少異なるにせよ、いずれのものでもこの旨は記載されているだろう。この文章から、連珠の形勢判断に必要な二つの要素を読み取ることができる。
連珠の形勢判断の尺度ー速度ー
先の文をもう一度。
「黒が先手、白が後手で交互に打ち、縦、横、斜めのいずれかに早く「五連」を並べた方が勝ちです。」
「早く」五連を作るとある。当たり前のことだが、相手が五連を作ってから自分が五連を作っても勝ちにはならないということだ。攻めの速度が形勢判断の尺度の一つということになる。
もう一つ注意しておきたいのは「相手より早く」ということだ。連珠における攻めの速度は絶対的なものではなく相対的な概念なので、相手の状態によって自分のどの攻めが速いのか遅いのかが変わってくる。
この尺度をもう少し掘り下げると、「連珠において速いというのはそもそもどういうことか」「速くするにはどうすればいいのか」といった疑問が出てくる。率直にいうと、文章化すると非常に長くなるのでとりあえず置いておいて次に行く。
連珠の形勢判断の尺度ー空間ー
「黒が先手、白が後手で交互に打ち、縦、横、斜めのいずれかに早く「五連」を並べた方が勝ちです。」
今回は五連にアンダーラインを引いた。なぜかお分かりだろうか?
その前に、そもそも盤上に五連だけが並んだ状態をまじまじと見たことがあるだろうか。最初に見てみよう。
これが五連だ。端的に言って、結構なスペースを必要とする。
攻めの速度は相対的という話もこれに関連する。相手の五連を作るスペースを消してしまえば、そもそも速さは関係なくなる。同じように、自分のスペースを消されれば相手だけにチャンスが残るので不利ということになる。
空間の広さは速度とは異なりある程度は絶対的な概念である。「五連を作るのに充分なスペース」というのは決まっているからだ。こちらももう少し掘り下げると、先と同じような疑問が出てくるだろうが、とりあえずここでは深くは扱わない。「なんとなく広そう、狭そう」でもそれなりに機能するので意識してみてほしい。
とりあえず形勢判断の最も基礎的なことについて書いてみたが、続くかどうかは気分次第・・・。