連珠雑記

連珠(競技五目並べ)に関する雑記。問題掲載、五目クエストの棋譜、公式戦振り返りなど。

連珠の考察

強さの中心はどこにあるのか?

私は連珠の他には将棋とバックギャモンをする。両方とも連珠に比べればはるかに弱く、馬鹿にされたことも時々あった。こういう話をすると多くの人は不思議がる。その筆頭は「将棋の羽生先生は将棋もチェスも強いのに、そうでもないんですね。」という類のも…

連珠に才能はあるのか?

連珠をやるために生まれてきたのではないかと思わず感じてしまうような人間は確かにいた。彼はいま連珠から身を引いているが、本当に強かった。将棋界で藤井総太先生が話題となって久しいが、仮に今でも続けていれば「連珠界の藤井総太」として名を馳せてい…

「どうしたら強くなりますか?」に対する考察

「どうしたら強くなりますか?」 この質問は、連珠のようなゲームをしている方共通の悩みだろう。私自身も日々感じているし、何より最近は聞かれることが多い。自分なりに考えてみたい。 まず、この質問をする人には、私の経験上大きく分けて以下の3通りに分…

連珠は知識のゲームか?~局面認知力と知識~

「連珠は視力」というのは特に最近よく言われることだが、これについて少し考えたい。視力、ここでは瞬発的な局面認知力=「ある局面を見た時に、適切に情報を取捨選択する能力」として話す。これに必要なのは何か。私のなかでは「経験値+整理された知識」の…

チャンク化

チャンク化とはどういうふうにしているかを聞かれることが増えたので、最近友人に説明した例を書いておく。 図が基本図。ここからの黒の追い詰めを考える。 いきなり躓くようで申し訳ないが、便宜上白2は中止めで進める。外止めをすると、一般的にはそれだけ…

受けの選択肢

久しぶりに五目並べの達人をやったときのもの。図で白番どう受けるか。黒の直近の狙いとしては黒A白B黒C以下追い詰めらしきものがある。らしきものという表現をするのは、実戦のこの時点、得に短い持ち時間において正確に追い詰めだと判断するのが難しいため…

速度の見極め

図は明星の古くから存在する序盤。白6ではAが定石とされている。この局面で黒にAと打たれると、縦、横、斜めで合計三つの連が発生してしまう。無論詰みを残しているため、これだけでいきなり受け無しになる。連珠は一般的に二つの連が出来た時に追い詰めが発…

五目クエストお題振り返り

せっかく頻繁にお題をやっているので軽く振り返っておこうと思う。 白6は大まかにABC が打たれた。個人的な印象ではBが本線かな?自分の対局から気になったものをいくつか見ていく。 kawamura-meijin 戦。私の黒番。白12までは疎星の黒有利とされる進行に、4…

現代連珠から見るノーマル寒星五題~連珠に残された唯一のフロンティア~

ノーマル寒星五題というと、通常恒星共通のこの形を指す。「唯一のフロンティア」という表現は、この形が流行り始めた2011年前後における日本の某強豪の発言だ。不思議なことに、海外のまた別の強豪も、フロンティアという表現を使用していないものの似た趣…

ソフト研究の浸透は連珠の何を変えたか

時々聞かれることである。この質問に厳密に答えるには、ソフト研究黎明期から順番に話していく必要があるのだが、大変な量になってしまうため特に高レベルソフト(Yixin)の登場前後について述べる。 「誰でも」より速くより正確な研究ができる時代 Yixinの…

共通型の基礎知識

Twitterのぴえこ先生のお題局面で登場したので、ちょうどいい機会ということで書いてみる。この記事で説明するのは、当該戦型における前提知識、つまりプレイヤー間で常識とされているものについてである。細かい手順や最新の動向は追わないので、そこが気に…

勝敗を分かつ一手の攻防~幻の四追い~

連珠には幻の四追いという慣用表現がある。簡単にいうと、「四追いだと思っていたら実はノリ手で勝てないもの」にあてられるものだが、厳密にはもう少し狭い意味合いなのではないかと思う。ちょうどいい局面を見つけたので紹介したい。 (仮想局面、白2まで) …

四追いとフクミ

チーム世界選手権の宿で私は藤田雄大五段と同室だった。彼は国際棋戦初出場に関わらず5割近い成績を残し、去年個人2位である中国の朱建縫に1勝1分で終えるなどその強さを見せつけた。藤田君とは大会の合間合間に練習ということで3分切れ負けや5分切れ負けの…

終盤の研究②ー①

今回も終盤の研究をしていく。 (テーマ図、黒番) 今回扱うテーマ図はこの局面。疎星などで時々出現する局面だ。この局面を設定する条件として ①絶対的な黒の手番 ②十分な攻めスペース の2点がある。ある局面から黒が勝てるかどうかを確かめるのには基本的な…

終盤の研究①ー③(余談)

この記事は本筋とは関係ないが、個人的に興味深かったので残しておく。 (第1図、黒5まで) 白2には黒5ーAから追い詰めであることは前の記事で述べた。(以下) renjuvarious.hatenablog.jp では第1図、黒5と三をヒクとどうなるのだろうか?白の受ける候補はAも…

終盤の研究①ー②

この記事は以下の記事の続きなので、未読の方は先に目を通してほしい。 renjuvarious.hatenablog.jp (第16図、黒5まで) 白2には黒3、黒5と打つ追い詰めがある。これもこの形では出現率が高い。 (第16図、黒7まで) 知らないとなかなか打てないが、白6には黒7…

終盤の研究①

実戦では詰みもそうだが、いかに詰む形に持っていくかが大事だ。自分の知識の整理も兼ねて、終盤でよく現れる形の研究を行う。 (テーマ図、黒番) テーマ図から黒番である。ここでは既に黒必勝が確定している。細かい石の配置は色々あるのだが、勝ちになる形…

三ヒキ主体の連珠におけるポイント

先日いっぷくさんで連珠に関する講義をさせていただいた。その中で「三ヒキは将棋で言うと銀損(捨て)に相当する」と言及した。それにより三ヒキ恐怖症になる方や、「強い人は三を引いているのに何で?」と思われる方があっただろう。その疑問はもっともであ…

持ち時間と攻守

入浴中に考えたこと。 とある言説で「連珠は持ち時間90分が適切である」というものがあった。持ち時間が長すぎると、読みが速い者がその長所を活かすことができない、がその主張だ。最近まではうんうんそうだなぁと思っていたのだが、ここ数カ月で変化があっ…

初見と既知ー連珠の構図の研究

初見には弱い 友人による私の評価の一つに「(一般と比べて)初見には滅法弱いが、二回目以降には強い、だから経験値を積むことが何より大切。」というものがある。この指摘が客観的に正しいかどうかは別として、長年私を見てきた人による評価であるので大事に…

形勢判断の尺度

元々は ここ最近物事をすぐ忘れることに気づいた。連珠の棋譜という話になると顕著で、次の日には忘却していることが多い。日々あれを文章化しようこれを文章化しようと考えていることは多々あるが、その大部分を忘却してしまっているのではなかろうか。あん…

研究テーマという口実

テーマを持った研究ーある局面Aを解明するー 仰々しく書いたが、私はこういうのが好きではない。なぜか?忘れるからである。「~の研究をしよう!」というのは言葉それ自体に義務感、強制力があって深いところで積極的ではない(気がする)。それよりは、半ば仕…

追い詰めの研究

研究とは 連珠において研究というと、「実戦で現れ得る、ある局面における最善手を探し出す」という意味合いで使われることが多いと思う。「私は研究量が多い」=「より多くの局面における最善手を知っている」と理解しても差し支えない。 私は研究が好きだ…